イオン新座店の2本のヤマモモ

うちの近くのイオン新座店には道路に面した入り口の前に、2本のヤマモモの植え込みがある。両方、主幹の直径はだいたい30cm〜40cmぐらい、樹高は、うぅ〜ん…4mぐらい、まあ、中高木ってところだろうか…スーパーマーケットの入り口にあるにしては、立派、といえる樹木である。


一度書いたが、そのヤマモモ、強剪定されている。僕も樹木観察の素人、初心者だから、あの強剪定を見て、随分ひどいことするなあ、かわいそうだなあ、ヤマモモ枯れてしまいそうだなあ…とつい思ってしまう。そして、あのようにカットした職人?や、そもそもあのヤマモモ2本を管理している、おそらく、イオン新座店であろうが、その管理者の樹木やひいては生命に対する価値観を勝手に想像し、勝手に腹がたってしまうのである。


いろいろな場所でヤマモモその他の街路樹を見てきた。そしてそれらを比較してみると、やはり、イオン新座店のあの2本はヒドイ仕打ちを受けていると思わざるを得ないのである。


その2本のうち、道路側から見て右側の木、これに毛虫がついた。強剪定を乗り越えてやっと出てきた新芽・新葉をその毛虫が全部食い尽くしてしまった。やっと葉が出たのに…そして、今、右のヤマモモには葉が一枚もない…いや、主幹の下に一本細い新枝が出てその枝先にわずかながら葉が出ようとしている…がんばれ!


右のヤマモモ、これからどれだけ葉が出てくるかはわからないが、とにかくこの夏を乗り切って欲しい…と毎朝、祈りながら見ている。


で、左側のヤマモモ、こちらは、右側に比べて葉が出るのが1週間から10日程度遅れた。だから最初、心配した。大丈夫かな…この木は…葉がでないまま枯れてしまうんじゃないかな…と。しかし、それは杞憂に終わりつつある。


というのは、何と、新葉のタイミングが遅れたせいで毛虫がつかなかったのだ!一匹もつかない!だから、まったく葉は食べられていない!ようやく、樹冠が形成できるぐらい葉がついてきた。今頃だが…新緑っぽく!左の木は虫害を逃れたのだ!


今、「樹木たちの知られざる生活」という、ドイツの森林管理管の書いた本を読んでいる。それによると、同じ樹木同士、情報交換をするそうだ。情報を交換しながら助け合うそうだ。自分に虫がついたら、情報を発信して他の樹木に警戒を促すそうだ。土壌が一緒の場合は、土の中の根っこを通して、空中では何らかの芳香物質を出す等々、様々な方法で通信するそうだ。


さて、イオン新座店の2本のヤマモモたち。もしかしたら、右の木は、左の木に、何らかの虫警報を出していたのかもしれない。その情報を受けた左の木は、まず、葉の出を遅らせ毛虫の成長タイミングとずらし、そして新葉が出た後は、今度は毛虫が嫌がる香りを出したり、樹木全体に虫除け成分を出して、毛虫が来ないように防御していたのかもしれない。


わずか5mしか離れていない2本の木、同じような強剪定、同じ樹齢?おそらく…にも関わらず、左は、新葉の出現が1週間〜10日遅かった。この遅れが、左の木を救った。


あの本を読んで、僕は、これは偶然ではない…と思った。毛虫に葉を食われた右の木が、何らかの手段で毛虫情報を左の木に流したんだ…それを受信した左の木は、わざと新葉の出を遅らせて虫がつくのを防いだんだ…右の木は自分を犠牲にして左の木を守ったんだ…


こうして想像を膨らませると尽きない。ほんとにそうなのかは、わからない…専門的知識が欲しいとも思う。しかし、思うのだ、生きているものの強さ、凄さ、そして優しさを。分類上は植物だが、このような現象を観察し、そして、入門書・啓蒙書ではあるが、領域としては樹木に絞り込んだ本を読んだりすると、何だか、植物も動物も同じ生き物として、同じ生きる仲間として、トータルに見たくなってしまうのだ…


左のヤマモモくん、今度は君が右のヤマモモくんを助ける番だ。果たして、どんな連携プレイを見せてくれるんだろう?楽しみだなあ(笑い。)


イオン新座店、2本のヤマモモから目が離せない。