社会化(socialization)

社会化(socialization)はけっこうこわい。知らないうちに条件付けされている。


いろいろな面での社会化があるが、最も顕著で話題にされ議論されその除去が叫ばれているのはジェンダー役割ステレオタイプであろう。で、今回改めて「こわい」と感じたのはこのジェンダーではなく、東京新聞に出ていたイラストである。


4月14日東京新聞「大図解シリーズ No.1090」のテーマは「キャリア教育」であった。学校におけるキャリア教育の理念、内容、実践がわかりやすく図解してある。さすがぁ〜と思った。


今日、ふと、ある図が目に止まった。誕生から定年退職までのライフ・イベント
直線上に記し、(人生の)各発達段階における特徴的なイラストが添えてある。例えば、中学生の絵、結婚式、子どもの誕生、そして定年退職だ。女性男性両方の絵が描いてある。さすが、ジェンダー配慮。


そこで突然気になったのが、定年退職(60歳くらい)の絵。年相応の男性と女性のカップルが、何となく丸まった背格好の姿勢で立ち目線が下に行っている。いかにも元気がない。要するに、一般的な、おばあちゃん、おじいちゃんのイメージ。


60歳でこんな感じ、ホント???今時の60歳、もちろん個人差はあるが、背筋はシャキッと伸び表情は生気に溢れ生き生きと第2第3のキャリアや人生を生きている人たちがたくさんいるんじゃない???

60歳で人生の日暮れを感じたり、また、さまざまなメディアでそのように表現するには、この時代、明らかに早すぎるんじゃない???

定年を65歳にしようとしているのに、こんな感じじゃ働けないし、採用する気もなくなってしまうよ。

この絵を若い人、子どもたちが見たらどう思うだろう?ああそうか、60歳くらいになるとこんな感じなんだ・・・と思ってしまわないだろうか?60歳くらいのイメージが作りあげられていまわないだろうか?


この絵を見て、何となく、意識することなく、人生が決められてしまっているような気がした。メディアによる社会化だなあ・・・とつくづく感じる。

せっかく、キャリア教育を取り上げ、ジェンダー配慮をしているのに、この絵だけはちょっと残念。もっと若々しい60歳を描いて欲しいな、東京新聞さん!