アスペルガー症候群とMBTI

最近、この話題に関心があって「岡田尊司アスペルガー症候群幻冬舎新書 2009」を読んだ。うぅ〜ん、なんとなくわかったかな・・・という読後感。


自閉症アスペルガー症候群は、それぞれ単独の障害として捉えるのではなく、自閉症連続体(スペクトラム)として捉える、という考え方がよくわかった。総称として、広汎性発達障害という言葉も使う。


第一章では「アスペルガー症候群とはどんなものか」を解説しているが、この章についてはよく理解できた。


しかし、第六章「アスペルガー症候群と七つのパーソナリティー・タイプ」、第七章「アスペルガー症候群とうまく付き合う」、第八章「学校や家庭で、学力と自立能力を伸ばすには」、第九章「進路や職業、恋愛でどのように特性を活かせるのか」では、かなり混乱した。


というのは、障害の特徴というより、パーソナリティのタイプ論が書いてあるから!自閉症スペクトラムの、おそらく軽い方についてパーソナリティ・タイプ論を展開しているかと思いながら読んでいると、急にアスペルガーの特異な行動について述べ始める。その結果、一般的なタイプ論とアスペルガーの境界線が分からなくなってしまう。分類するタイプはもちろん異なるが、まるで、MBTIの解説書を読んでいるような気分にもなる。


とくにびっくりするのが、本書に登場する錚錚(そうそう)たる人物。

ビル・ゲイツスティーブ・ジョブスフローベールアインシュタインウィトゲンシュタインダーウィンキルケゴールジョージ・ルーカス本居宣長野口英世アンデルセンアラン・チューリング宮沢賢治、リーマン、グラハム・ベルアドルフ・ヒトラー井深大エジソン、ガウディ、アルフレッド・ヒッチコックウォルト・ディズニーゴッホユトリロアンリ・ルソールイス・キャロル


天才、天才的と言われている人物ばかりである。ここまで挙げられると、アスペルガーとは何なのだ・・・と言いたくなってしまう。


手元に「木原武一、性格の研究、メディアファクトリー、1993」という本がある。MBTIが日本に導入される前、リクルートがTIと称して行っていた頃書かれた啓もう書である。(ちなみに、本書ではタイプ論と特性論が混同され、決めつけるような表現がかなり使われており、MBTIとは別物の一般読み物として捉えるのが妥当である。)


本書にも上述の偉人が登場する。ヒトラーアインシュタインエジソンダーウィン。彼らは、あるユングのタイプに分類されて語られている。


同じ人物をアスペルガーでも、ユングタイプ論でも捉えられるのがおかしい。アスペルガーで捉えてしまうと、それはスペクトラムの一部とはいえ発達障害である。タイプ論では、あくまでもパーソナリティ・タイプによる分類で、発達障害には触れない。健常ととらえる。


MBTIのタイプを前提としてその人に対応するのと、アスペルガーのパーソナリティ・タイプを前提として対応するので、どちらがその人にとって好ましいのか・・・おそらく自閉症スペクトラムの位置によるのだろう。


中には、明らかにそうだ・・・と感じる人もいる。そういう人に対応するときは知識が役立つことは事実。とくに第十章「アスペルガー症候群を改善する」と題して、さまざまな臨床心理的アプローチが書かれている。


その位置が低い方だったら、MBTIタイプを前提とした関係性の方が、自他ともに健全でいられるような気がする。スペクトラムの位置が高ければ、発達障害の知識を前提に対応しなければならないのだろう。


アスペルガーのタイプ分類を読んでいると、「おぉ、ボクもその気があるぞ!」と思うようなところが多々出てくる(笑。)一方、それはボクのMBTIタイプにみられる特徴の一つと読みとれるものでもあるのだ!


このように考えてみると、MBTIを使うということは、すでに、アスペルガー症候群の入り口に立っているということなのかもしれない。けっこう、難しい。でも、そうか、パーソナリティのタイプ論だもんね!