ブライス家の人々―家族療法の記録 2

12月3日に310ページまで読んだ感想を書き、2~3日後に全部読み終えた。


読み物として抜群におもしろかった。しかも、家族療法の一流のテキストでもある。


でも・・・ふぅ〜〜〜なんというか、暗いわけではないが、かなり重い感じがする何かが残った。結婚や家族のこと。


最初は長女のクローディアがIP(Identified Patient)として扱われていたが、だんだんとIPが変わり、長男、母親、そして最後は父親へ、つまり、主要登場人物のほとんどが、「患者」になっていった。


皆、表面的には普通の人たちだ。しかし、こころの深層に何かがあり、それが家族の中で心理的な問題を引き起こし、それらが家族療法家の治療プロセスによってどんどん表面化する。そして、一人ひとりは治療と気づきによって自立していく。たいへんよいことだ。


しかしである。その何かをつくりだしたのは、本人の精神的な問題というよりは、家族というシステムなのである。つまり、家族にならなかったら、そのような問題は引き起こされず、患者にはならなかったのだ・・・と思う。


だから、結婚する、家族をつくるということは、好んでひじょうに厄介な心理的問題をつくりだしているようなものだ・・・と思ってしまう。ならなくてもよい患者になっているような気もする。


何のために家族になるのか、何のための結婚か。それらに対して、今はちょっとブルー、懐疑的な気持ちになっている。


家族システムなどというのは、これからの人類を考えたとき、もしかしたら過渡的なシステムかもしれない、などと思い始めた。たまたま、これまでの社会では、家族システムがいろいろな面で効率的だったのではないか?これから、変わって行きそうな気がする。


現に、家族崩壊、できちゃった婚の増加等、何となく家族システムに依らない何かが起きつつあるような気がする。それは、思い過ぎだろうか?


とにかく、ショックで、重くて、でもおもしろくて、知的興味を駆り立て、自分の人生課題を突き付けてくれた、たいへんな本であった。