プロジェクトXとドラクロワ

最近またNHKの夜番組、ドラクロワ(ドラマティック、クロウ、バナシ)が再開した。ボクはこの番組がけっこう好きで、比較的よく見る。


主人公は普通の女性。彼女らのドラマティック人生が描かれる。幾多の困難にもめげず、一つひとつ問題を克服しながら、今ここ、に全力投球し、何が起ころうとも明るく臨み、偶然を感度よくつかみ、周囲の助けを受けながら、関係性の中で、不確実性の社会を力強く生きていく。涙無しでは見られない(涙涙笑)


いちおう、成功物語りはあるが、ハッピーエンドではない。なぜなら、これからも彼女らの人生は続いて行くからである。ずっとつながっている。時間がつながっている、人とつながっている、家族とつながっている、コミュニティとつながっている。


かつてのプロジェクトX、これも感動のドラマだった。高い目標を立て、想像を絶する困難を克服し、目標を達成する。その姿に感動した。


この二つの感動番組、比べてみるとおもしろい。ドラクロワの主役は一人の女性。舞台は人生。プロジェクトXの主役は、すべてとは言わないが、男性あるいは男たち、舞台は、仕事。そういえばプロジェクトXの冒頭は、田口トモロオのナレーションによる「・・・ある、男がいた・・・」だった。


ドラクロワの女性は、今ここを、必死に生き抜く。目標設定、達成という世界ではない。プロジェクトXの男性は、仕事上の目標達成が目的。達成に至る過程に、男たちの生きざまが現れる。


サニー・ハンセンに、sense of agency(自己統制感覚、自分の人生に起きることを自らコントロールできるという感覚)とcommunion(交流)という概念が出てくる。そして、ハンセンはこの概念をさらに一般化し、self-sufficiency(自己充足)とconnectedness(つながり)というディメンジョンに発展させた。


sense of agency/self-sufficiencyはジェンダーでいう男性の、communion/connectednessはジェンダーでいう女性の特徴に分類されている。これは実はジェンダー役割のステレオタイプであるとハンセンは説明する。本来人間は、女性男性にかかわらず、self-sufficiencyもconnectednessも両方持っているのであり、これを両極として見たとき、人によってそのスペクトラム上の位置が違うだけなのだ。


また、ハンセンの本では、男性の成功は「仕事における成功」で象徴され、女性の成功は「家族や関係性における成功」で象徴されて来たとする。ジェンダーである。


こんな文脈で、二つの番組を見ると・・・うぅ〜ん、おもしろい!プロジェクトXはみごとに男、ドラクロワはみごとに女だなぁ・・・と。


いつか、ドラクロワに男性が登場し、田口トモロオの「・・・ある女がいた・・・」で始まるプロジェクトXorYが制作されたら・・・おもしろいだろうなぁ!


ちなみに、同局「祝女」も好きです(笑。)