会社の寿命

一昨日インターネットで、前の会社のある工場が、向こう1年半以内に閉鎖されるというニュースを知った。スタートしたのが1970年代の半ば(だったと思う)なので30数年を経てのシャットダウンということだ。


前の会社では1998年以来、何やかやで似たような施策をほぼ毎年繰り返してきたので、ついに来たか、たいへんだな・・・と若干感傷的な気分・・・と同時に、会社の寿命という言葉を思い出した。


ネットで調べたら、「会社の寿命」というのは1985年頃に日経が出版した本の題名で、そこでは会社の寿命は30年としている。この本、確か1990年代の前半に読んだ記憶があり、寿命は30年というのをよく覚えている。まぁ、30年というのは、マネジメントの一般常識のようなもであるけれど。


ただ一つ、もしかしたら誤解していたかもしれないのが、「会社」を文字通り会社と受け取っていたところである。前の会社は2008年に40周年を迎えたし、親会社は今年で82年目である!何だ、30年じゃないじゃん!


でも、ちょっと待てよ。。。


ボクが最初に配属された工場は、30数年後、紆余曲折を経てあとかたもなくなった。次に行った工場で仕事をした製造ラインは、20数年でシャットダウンされた。その他、いくつかの開発部隊やセンターが、10年前後で無くなっている。


工場一つが閉まるということは、その地元にとっては会社が無くなるのとほぼ同じである。事業部にしても、規模によっては会社に匹敵する場合もある。そのような組織が、30年前後で、いろいろな理由はあるにせよ、無くなっている。つまり、冷たい言い方にも聞こえるが、寿命を迎えたのである。


そう考えると、件の工場やボクの最初の配属先、それらはまさに会社の寿命であったと言えはしまいか?


会社を離れて2年半、こうして外から見てみると、一見非情のように思える施策も、一方では企業という一つの生命体の生命維持活動ようにも見えてくるのである。


そこで、キャリア・プランニングである。とかく私たちは、今の会社組織がずっと続くものという暗黙の了解のもとで、自分のキャリアを考えていはしないだろうか?でも、現実は、会社の寿命30年なのだ。


つまり、私たちには、自分の仕事人生における変転を考えると同時に、企業組織の変転も考えたキャリア・プランニングが必要だな・・・とつくづく思うのである。


Nancy Schlossbergのトランジションモデルに、Planned event, Unplanned event, Non-event, Chronic eventというのがある。このモデルを会社に当てはめてみると、30年の寿命というのは、一つのPlanned eventであるという見方もできる。


しかし、そこで働く私たちは、こうした施策が、unplanned eventのように見えるのだ。そこでの仕事にやりがいや働きがいを感じていればなおさらのこと、このような施策が突如としてやってくるように思う。


でも、現実はどうやら違うようだ。ある程度、planしておいた方がよい、いや、プランしておくべき変転なのだろう。


それに、今や、人生80年時代。私たちが働ける時間は、もしかしたら、50年60年の時代である。会社の寿命の2倍もある!


さぁどうする!?


意味のある仕事人生、全人生を生きたいと思う。