みすゞさん、Natalie 3

松本侑子著「みすゞと雅輔」を読み終わった。同時に、"Writing Down the Bones"も読了した。「みすゞと雅輔」が5日間、"Writing Down the Bones"に1ヶ月ちょっと要した。両書とも★★★★★にした。


「みすゞと雅輔」は力作だと思った。上山雅輔の人生描写を通して、金子みすゞの人間像を描き出すというアプローチで書かれた伝記小説であった。みすゞと雅輔をめぐる登場人物それぞれの、苦悩や喜び悲しみが、誰に肩入れするでもなくフェアに描かれていた。金子みすゞの人間像に迫っていた。


もしもあの時代、いいファミリー・セラピストがいて、上山ファミリーをシステムズ・アプローチでセラピーしていたら、なんて妄想しながら読んでみたりもした。上でフェアと言ったのは、誰が一番悪い?という犯人探し的な話ではなく、家族システムを取り巻く状況の変化につれて、いわゆるIP (Identified Patient) が移り変わって行った様子がよく描かれていたからだ。


文芸書を買って読むなんて、僕からすれば前代未聞。でも、いい本に出会ったと思っている。


Natalieはスゴイよ。WritingであってPsychologyではないと本書でいっているが、もう、ほとんどフォーカシング、ナラティヴ・アプローチ、Thinking At the Edge、マインドフルネスと同じ!だから、書いてあることが、僕自身の体験に照らし合わせてとても、しっくりきて実感するものだった。


最後のAfterword、An interview with the authorは、もう、感涙もの!全部読み通したご褒美と思いながら、その部分、多数のわからない単語がありながらも、一気に読んでしまった。


今、2回めを読み始めたところ。Natalieをnarrative paradigmとして、みすゞさんの詩を読むと、金子みすゞの世界がとてもよくわかるのが、ホント、うれしくてしょうがないよ!