八重子のハミング

有楽町で映画「八重子のハミング」を見てきた。山口七夕会という山口市に所以のある人たちの会があってそこからの情報でこの映画のことを知り、舞台が萩市ということや、映画へのサポートも含めて前売りチケットを買っていた。今日が初日で、映画館は大入り満員、立ち見客もでた。


若年性アルツハイマーの妻を14年間介護した夫を中心とした、家族、仲間、コミュニティの物語だった。ちょうど、劇中、主人公(夫と妻)たちと自分の年令が同じくらいだったので、そういう意味でも、とても実感の湧く物語りだった。


主演の升毅さん、妻役の高橋洋子さんがよかった。東京開催初日ということで、初回上映終了後、舞台挨拶があった。主要なキャストが壇上に立ち、司会者の質問に答えるというかたちで、それぞれが映画に対する思いを語った。


升さんは、この映画が初主演だったそうだが、スピーチの最後の方で絶句する場面もあった。このストーリーであの演技、無理もないなあ…と共感した。最初は役作りに悩んだが、最終的にそのままの自分で撮影に臨み、物語の中に入って行ったと語った。


妻が静かに穏やかな笑顔で亡くなり、夫が号泣する場面があったが、よく、号泣というと、どこか嘘くさいところもなきにしもあらずと思ってしまうこともよくあるが、この夫の14年間を思うと、あの号泣も本当に自然な号泣だった。演技の号泣もあるけど、あの役を演じていたら、役者本人の涙ももしかしたらあったかもしれない…と升さんの話を聞いて思った。


劇中、萩の風景がいくつか出てきた。笠山の椿群生林、行ったぞ、あそこ。ただ、僕が行ったときは椿は落ちていた(笑い。)一番驚いたのは、なんと、油谷湾温泉楊貴館!あの大浴場、入ったぞ!窓越しに油谷湾が見えるあのお風呂。夕方は夕日が見えるあのお風呂、入ったぞ!これにはびっくり!


友だちの医者役の梅沢富美男とガン手術入院中の主人公が、徳山の病院の屋上でタバコを吸う場面。どっちだったかなあ…会話の中で、「おまえ、わや、ゆうなぁや…」。これ、山口県人しかわからないでしょ(笑い。)「おまえ、無茶いうなよ」です。


升毅さんという男優、僕は最近この方を知った。直近では、広岡浅子の物語「あさが来た」で、あさの父親役。そういえばそうだった。しかし、それよりも僕にとって強烈なインパクトを与えたのは、「仮面ライダーアギト〜〜〜〜〜!!」アギトの翔一君が居候していた美杉家の美杉教授!この人が升毅か、40代の彼でした。なかなか、かっこいい俳優だね。


映画を見終わった後、有楽町から東京駅まで歩いた。JRの高架脇の歩道、有楽町東京国際フォーラム辺り、あの辺りの街路樹は、ベニバナトチノキ。で、恥ずかしながら昨日初めて知ったのだ。マロニエって云うんだって、トチノキのこと(正確にはセイヨウトチノキ)。これフランス語。これが、マロニエかあ、はぁ〜〜〜〜そうか〜〜〜銀座にはマロニエゲートもできたし(笑い。)


最寄りの志木駅からの帰り道、近くのマンション、プラウド志木の庭木に「アメリカザイフリボクジューンベリーと言うそうだ、を見つけた。樹木観察の腕前、2週間前から格段のシンポを見せた。


5月にしては若干蒸し暑い、でも、爽やかな一日でした。